薊の森

備忘録

dele小説版感想1

※この感想文はTwitterでふせったーを利用して投稿したものです。小説版のネタバレが含まれます。ドラマ版とはエピソードが異なります。

 

真柴が坂上の元にやって来たきっかけはドラマと違って、次の仕事に困った時用の箱に入っていたカードからたどり着いたということだけど、2でその伏線は回収されるのだろうか。2はまだ少ししか読んでいない。
一冊目には5本の中編小説が収録されていたけど、どのエピソードもまさしくdeleの世界といった感じで、中でも個人的に映像化して欲しいと思ったのは『シークレット・ガーデン』だった。
年老いた依頼人の安西とそのヘルパーの宇野の純愛は、宇野がトランスジェンダーであり、妻を亡くして間もない安西から年の離れた宇野へのせいいっぱいの愛情の証が妻の遺品である指輪だった。それを安西の死後に知る宇野。故人の妻だと名乗り出る結婚詐欺で安西の息子から金をせしめ、安西の晩節を汚した高嶋を許せず、宇野は女性の姿のままで高嶋を刺殺してしまう。宇野は自分なんかが想いを寄せていい相手ではなかったと、真柴と坂上に安西のことを話したけど、言葉にはしなくても安西は宇野を愛していた。ふたりのその関係にぐっときた。
『ドールズ・ドリーム』のどんでん返しも見事だった。依頼人である妻は夫の不貞を疑っていたのではないか、だからdele.LIFEに依頼したのではないか、というところから、遺していく幼い娘への愛情だったと判明した時のほっとする感じがいい。
『ロスト・メモリーズ』も人格者だと評判だった依頼人の隠された過去、人生が真柴と坂上によって暴かれていく過程が素晴らしかった。入れ替わりというのは使い古されたトリックではあるけど、そうは感じなかった。
最後に真柴の妹の死について少し出てきて、2でこの真相が明らかになるのかなあと思った。読み終わったらまた感想を書きたい。

 

(2018/08/16)